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05年夏~06年夏まで1年間スウェーデンに留学していました。東京での大学院生活を経て、今は岡山県で働いています。


by kanapyon_814
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バーチャルなものはもう要らない。心の運動が必要。

昨日TVを見ていたとき、父がふと
「今はボウリングまで、TVゲームでできちゃう時代なのかぁ・・・」と
ため息混じりにつぶやいた。

最近よくCMをやっている、手にバンドを巻いてTV画面見ながら
テニスとかゴルフとかのスポーツをするゲーム。
次世代の子どもたちにとっては、スポーツをすることが、
お家の中で、ボールに触ることもなく、
たいして汗もかかずに行うことになってしまうのだろうか・・・。

よく、最近の子どもは、「まっすぐ走れない」、「スキップができない」、
「ジャンプすらできない」というニュースを耳にするが、
こういうゲームがあったりしたら、まぁそうなるのも必然的だろう・・・。

ゲームとかの宣伝では、「臨場感」という言葉がよく使われる。
実際の場所にいるような、実際にプレーしているような臨場感。
でも、それはやっぱり、ただの感覚でしかないし、
自分の気持ちが「騙されている」ということになる。

スポーツの場合だったら、TVで観るのよりも生で観る方が、
それよりも、自分でプレーする方が感動が大きい。
その一番は、そこにチームメイトがいて、
同じ目標に向かって、一緒に練習に励み、
連帯感を持って、試合に臨むから。
そこに、“生の”コミュニケーションがあるから。

人に会うのが、メールよりも電話よりもやっぱり一番なのは、
その人と同じ空間で、同じ時間を共有して、
その時の自分を隠すことなく相手の前にさらけ出し合えるから。
それが“生の”コミュニケーションだから。

バーチャルなものは、所詮、バーチャルでしかないのであって、
リアルなものには絶対に敵わない。
人はリアルなものに触れてこそ、心を動かすことができるのであって、
バーチャルな世界で心が動いたと思ったとしてもそれは「錯覚」でしかないと思う。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

中高生の、いじめによる自殺が問題になっている。

私は前、自殺する人の気持ちが全然わからなかったけど、
この前親知らずを抜いた後、痛みがしばらくの間おさまらなかったことを機会に、
どうして人が自殺を考えるのか、ちょっとわかったような気がした。

「この苦しみから抜け出せる日が来るのだろうか」
「もしかしたら、一生抜け出せないかもしれない」
「この毎日のルーティーンを繰り返すのはもう耐えられない」
「だったら、自分からこのルーティーンを切ってしまった方が楽になれる」
「私の居場所はもうどこにもないし、わかってくれる人も誰もいない」
「私がいなくたって、悲しむ人なんて誰もいない」

こんなふうに考えるんだろう。
体の痛みもそうであるように、心の痛みがずっと続いている場合、
人は自分を追い詰めて追い詰めて、昔の楽しかった経験も、
幻想のように思うか、もしくは思い出せないんだと思う。
「もう私の人生はこれからも苦しみが続くだけ」と考えてしまうんだと思う。

でも、やっぱり人を苦しみから救えるものは、
自分が心を動かした経験だと思う。

世界には、今まで知らなかったこんなことがあったんだ!
こんなことをやっている人もいれば、こんな生活をしてる人もいるんだ!
こんなにすごい人がいるんだ!こんなにステキな人がいるんだ!
知らないことがまだまだたくさんあるし、
これからすごくステキな人に出会えるかもしれない!

私も何かの一員として、何かをすることができるんだ!
私のことをこんなに思ったり、考えたりしてくれる人がいるんだ!

そういう発見の喜びと感動が、本当に大事なんだと思う。
そして、それを与えてくれるのは、生のコミュニケーション。

携帯電話とか、インターネットの発達で、
私たちは、「目の前にいる人」とのコミュニケーションを
大事にしなくなってきているのではないかと思う。

友達同士でいても、お互いメールを気にしていたりとか、
家族に話かけても、メールやパソコンに夢中で、
ちゃんとした返事が返ってこなかったりとか。

「目の前にいる人」とちゃんと向き合って、ぶつかることも恐れないでいないと、
どんどん心が冷えていってしまうんじゃないかな。

前の記事で、体にとって一番悪いことは、体を冷やすことって書いたけど、
それは心にだって同じ。

心を冷やしたら、心の機能がどんどん低下しちゃって、
風邪菌が入ってきたとき、つまり何かつらいことがあったとき、
自分を追い詰める前に、それを追い出すことができなくなっちゃう。

心を冷やさない努力は、自分だけじゃなくて、周りの人と一緒にしていくもの。
大人たちが、子どもたちの心を冷やさないように、よく見ておくこと。
そして、大人たちが、子どもたちに、世界はこんなに楽しいんだよ、
生きているとこんなにいいことがあるんだよって、自分の行動で示してあげること。

生き生きした大人が増えたら、子どもたちも大人になるのが楽しみになるはず。
中高生の自殺は、今の子どもだけに問題があるのではなくて、
社会全体に問題があるってこと。
子どもだけじゃなくて、みんなの心が冷えている危険があるということ。
バーチャルな経験ではなく、
リアルな経験と、生のコミュニケーションを通して、
心をいつも温かくしておく必要があるということ。

体だけじゃなくて、心の運動もとても大事です。
by kanapyon_814 | 2006-11-27 12:06